高級スーパーが高級であるために
高級スーパーの付加価値とは
紀ノ国屋インターナショナル
明治屋広尾店
我が国の高級スーパーというと、スーパーの発祥である青山の紀ノ国屋がまずあげられるだろう。また、広尾の明治屋もあげる人も多いだろう。この両店の品揃えを基本形として、アメリカのグルメ・スーパーのデイスプレイなどをコピーして作るのが、我が国の高級スーパーの実態である。ここに大きな間違いがある。紀ノ国屋でも、郊外に出店して伸び悩むことが多い。
青山や広尾は何が特徴か問えば、欧米系の高額所得者の外国人客が多いことである。基本的に彼ら向けの品揃えであり、彼らには他で買い物し辛いことから、独占的な立場にある。また、日本人のお客も、店舗のステータス、ブランドで買い物をしている。このことが両店を高級スーパーに押し上げていることである。
では、このような条件がない場合に、高級スーパーはどう作れば良いかである。紀ノ国屋の品揃えをコピーしても、そういう客でないならば、威力がないことは言うまでもない。前に述べたように、セルフ・サービスは顧客に商品知識がないと、いくら並べても無駄だということである。世界各国の調味料を売る店も最近では、増えているが、ほんのわずかのお客には分かっても、大部分のお客には無意味なものである。高級スーパーを作ったから、紀ノ国屋と同じことをしましたは、トップには分かりやすいが客には分からない。
高級スーパーと銘打つからには、客数はほどほどに抑え、客単価を上げる。その場合でも大量購入ではなく商品単価を上げることが必要である。商品単価が高い=珍しいもの、他ではなかなか売っていないもの、となるから話がおかしいのである。他で売っていないものとは、量が出ないものであり、知られていないものである。これで売上を取ろうという方がおかしくないだろうか。
重要なことは付加価値を高めることである。同じ大根、同じさんまでも、どうやって付加価値を上げるかを追求しているのだろうか。納入業者まかせの品揃え、商品選別では問題があるのは当然としても、スーパーの方でも従来のバイヤーではない、新しい人間が担当する必要さえある。
また、顧客管理が重要になることから、DMもポスティングをするなど、顧客の一人一人を確認していく作業が必要である。従来型のスーパーにはない、価値のあるサービスの提供を考えなければ、高級スーパーとして評価を受けることは難しい。そのためには接客サービスのための人員投入も考えなくてはならないかもしれない。これだけの覚悟をもって高級スーパー作りを行っているか、はなはだ心もとない現状である。
ショッピング・センターの事例
この写真はナンクルナンタイさんのブログから引用させてもらいました。
6月にオープンしたララポート豊洲を訪問した。平日にもかかわらず客は入っており、これは、土日は大変な人出になると思われた。お客の中には業界関係者も多く、特に食品スーパーでは背広姿が目立った。
アメリカのショッピング・センターの完全コピーである。しかし、何かが違う。SCの問題を考えた時に、多分、一番欠けていたことは、専門店自体が業態になっていない、業種店であることなのではないかと思う。
いくつか気になった点を上げると、全体を船にイメージしたのは良いが、エントランスを港側に置いていることである。車での来場者へのアピールが徹底的に欠けている。船で来場することを狙っているのだろうか。船のイメージから白を多用しているのは、維持に多くの手間を必要とすることである。イメージ、デザイン先行の観が強いSCである。
テナントの構成が何でもありの、実に最近の我が国らしい有名チェーン店を並べた個性の乏しい専門店群が並んでいることである。日本の有名業種店を並べ、高級感を売り物にしただけで、ライフ・スタイルや生活感のない、それなりの店でしかない。豊洲という場所で、どのような生活が形作られるのか、提案のないSCである。
業態というのは、利用動機によって品揃えを構築する。例えば、ビジネス・ユースとかである。アメリカのSCには、父親へのプレゼントのための店がある。プレゼントにふさわしい商品、それこそネクタイ、時計、紳士小物類や、スポーツ用品などが並ぶ。あるいは子供が科学の勉強のための店がある。地球儀や顕微鏡、恐竜のプラモデルなどが並ぶ。初歩的な科学の本もある。そういう提案がない。せっかくキッザニア(子供のためのお仕事体験タウン)が活きてこない。
食品スーパーは静岡でチェーン展開するAokiが入っているが、相当に気張った高級スーパーが演出されている。アメリカでいうグルメ・スーパーで、黒を基調にした照明を落とした店である。品揃えも高級スーパーらしい、そこらのスーパーではお目にかかれない商品もある。中華惣菜ではシェフを入れて充実させているというだけあって、レベルは高い。
SCの作り方という面では、食品スーパーが別棟になっているところは、問題が大きい。車で来場する多くの顧客に、今一つアピールしない部分もあるだろう、しかし、何と言ってもSCであるから、専門店の充実を作り込むために何をしたら良いかをデベロッパーは考えるべきである。有名テナントを入れ替えるだけでは、真のSCとして多店舗展開できないだろう。もちろん、今の水準でもイオンなどが展開するSCには勝てるだろうが。しかし、今、展開しているSCに勝てる程度の水準で、欧米のSCが進出してきた時に勝てる理由がないだろう。