スキャンダルの大盤振る舞い
バブルの前後から金にからむスキャンダルが連発します。これまでにも、豊田商事事件、茨城CC事件、リクルート事件、蛇の目ミシンなどの総会屋による乗っ取り、恐喝事件の話をしました。それ以外にも、
・東京佐川急便事件 
・本州製紙や東急電鉄株の株価操作に係る事件
・証券会社の損失補填事件 総額2164億円
野村證券田淵会長
・住専に関わる事件
尾上縫
・東洋信用金庫事件(尾上縫)
まぁ数ある事件で、これくらいバカバカしいというか、笑いを誘うものはないかもしれません。一介のミナミの料亭の主人の縫さんに銀行が群がって、2兆円の金を貸し込むのです。バブルがはじけて株がパーになって追い込まれた東洋信用金庫が架空の預金証書を作る、その額、4千億円を超える恐るべき金額です。東洋信用金庫は、この事件を切欠に潰れはしませんでしたが吸収され消失するのです。
・富士銀行赤坂支店を舞台にした巨額不正融資事件
7160億円
・第一勧業銀行麹町支店の不正融資事件 88年発覚 35億円
・イトマン事件(次回、お話します)
・雅叙園観光事件 62年に仕手グループのコスモポリタンによる株買い占めで経営権を握られ、七百億円にのぼる手形を乱発されたうえ、コスモポリタンが破たんした後、イトマン事件に関係した協和綜合開発研究所が経営に関与するなどした後、97年破綻
・丸紅架空取引に係る詐欺事件
・木津信用金庫事件 上記、尾上縫に関連。破綻寸前末野興産が385億円を引き出したことでも有名
・大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件 95年発覚 960億円
個々の事件の首謀者達、それを取り巻く暴力団、芸能人、政治家、銀行などの金融屋、実に多彩なる顔ぶれは、影のオールスターともいうべき陣容です。個性たっぷりの、濃いメンバーが揃います。たとえば街金の最大手のアイチの森下安道、地産の竹井博友、イトマン事件の主役の一人である伊藤寿永光、コスモ信用組合の泰道三八、桃源社の佐々木吉之助、暴力団稲川会二代目石井進、末野興産の末野謙一、浪花の石油王といわれた泉井純一、えせ同和の黒幕とされる尾崎清光、最上恒産の地上げの帝王と呼ばれた早坂太吉などです。
これらに庶民は怒り狂ったといっても良いでしょう。バブル期にはインフレにより、収入は増えても、その何層倍で物価が上がり、バブル崩壊後は、不況の到来で大会社でも倒産の不安が増している中でのスキャンダルの連続です。リストラの猛威により、雇用不安が強まっていきます。
スキャンダルの責任を負って首相が次々と変わりますが、不良債権のマグマを抑えることはできません。97年に三洋証券から始まる金融機関の破綻は、北海道拓殖銀行、山一證券へと広がり、国民銀行、東京相和銀行などの地銀の倒産、長銀、日債銀の破綻へと続く。
売上の何倍にも膨れ上がる借金に苦しむダイエー、そごう等の流通関係、大手建設会社、大手ハウジング会社、大手マンション業者らは、既に何度かの借金の棒引きを受けていたけれど、新たな不安が襲い、株が額面を割り込む事態に至るのです。年がら年中、大企業のトップがTVカメラの前で謝罪をする姿ばかりが見せつけられるのです。
そしてあの運命の97年には、第一勧業銀行と4大証券を巻き込む総会屋事件まで起きるのです。戦後、最大の総会屋といわれる木島力也の後を継ぎ、第一勧業銀行麹町支店の不正融資事件で揺れる第一勧業銀行の株主総会で暗躍する等、最後の総会屋ともいわれた小池隆一は、損失補填事件で失脚した田淵節也元会長、田淵義久元社長を取締役に復帰させようとした動きに乗じ、当時の社長らの解任要求、証券不祥事を追求する攻撃によって莫大なる利益供与を受けるのです。小池の逮捕と同時に4大証券の役員が次々と逮捕される異様な事態になります。
小池隆一