鍋は「白菜」で決める

夏場から例年に比べて気温の高い日々が続いたが、木枯らしも吹いて、鍋の季節がやってきた。
鍋といえば何と言っても野菜の中では白菜が第一位。ボリュームの点でも、味を引き立てる脇役として、アチチと口の中が焼ける熱さを楽しめるのも、鍋の蒸せ返る温かさをストレートに伝えてくれる。葉も美味しいが、根元の白い部分が味を染み込んで透き通るようになったのは、旨さ一番ではないか。たくさん食べてもカロリーは低く、ダイエットに挑戦している人には嬉しい。
キムチ・ブームもあって周年供給される白菜だが、霜が当たるたびに柔らかく甘味が乗るといわれる冬の今頃から二月くらいまでが旬である。関東ではこの時期、茨城産がほとんどを占め、「きごころ」という鍋物に向く品種が大半である。
中国野菜であることを忘れてしまうが、大産地である山東省済南市では、白菜の路地ものの出荷が十一月までなので、冬の間に食べる白菜を確保するため、末日の三十日は白菜を積んだトラックや自転車で町中が溢れ、職場でも配給があるなど、白菜だらけ、白菜の日になってしまうという。我が国でも、ほんの二十年前は、今頃になると各家庭で漬物用に庭先に白菜を積み上げ、一家総出で漬け込む姿が冬の風物詩ではあったのだが。
中華料理では表皮に近いか、芯に近いかで使い分ける。芯部の葉は柔らかく繊細で美しい黄緑色をしていることから、特に珍重され高級料理にしか使われない。生に近いシャッキとした感触を楽しむ料理と、じっくり煮込んで甘味や滋味を引き出し、しっとりとした柔らかな味を楽しむ料理があり、八宝菜を始め、数多くの名品がある。冬に暖かさを届ける食材として活用したい。